SEOの解説記事は世の中にあふれていますが、「新規ドメインで実際に何をやって、何位から何位になったのか」を数字ごと公開している例はごくわずかです。本記事は、当サイト(2026年5月末公開)の最初の3か月の全施策と実測値を、効かなかった施策まで含めてそのまま記録した実録レポートです。データはすべてGoogle Search Consoleと検索結果の実測(SERP API)によるものです。
新規ドメイン3か月の実測で、平均掲載順位は88位→60位前後、表示回数は約139回/日→382回/日まで改善しました。効いたのは①カニバリ解消 ②柱記事への内部リンク集中 ③検索意図を正面回収するFAQ追加 ④dofollow被リンク(1本で90位台→47位)。効かなかったのは記事の量産(新記事は80〜90位に着地)・nofollowリンク(約15媒体転載でも順位不動)・リッチリザルト狙いのFAQ(表示ゼロ)でした。
前提:サイトの条件と計測方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイト | 本サイト(SEOツール「Saguru」のオウンドメディア)。コラム76本+SEO用語集 |
| ドメイン | 2026年5月末公開の新規サブドメイン(運営会社ドメインとは別評価) |
| ジャンル | SEO・AI検索——強豪のSEO支援企業がひしめく最激戦区 |
| 計測 | Google Search Console(クリック・表示・平均掲載順位)+DataForSEO SERP APIによる検索結果の実測 |
| 体制 | 実質1人+AI支援。広告・リンク購入なし |
重要な前提として、これはn=1の実録です。ジャンルや競合状況が違えば結果は変わります。それでも「何をしたら・何が・どれだけ動いたか」を時系列の実測で残すことには、一般論の解説にはない価値があると考えて公開します。
3か月の実測推移(順位・表示・クリック)
まず全体の推移です。平均掲載順位は1か月目88位前後→2か月目73位前後で停滞→3か月目に60位前後まで改善しました。
| 月 | クリック | 表示回数 | 表示/日 | 平均掲載順位 |
|---|---|---|---|---|
| 6月 | 18 | 4,156 | 139 | 73.8位 |
| 7月 | 55 | 6,403 | 207 | 73.2位 |
| 8月(1〜18日) | 18 | 6,872 | 382 | 64.6位(直近週54〜63位) |
ポイントは2つあります。第一に、表示回数は一貫して増え続けていること(露出面の拡大は先行指標です)。第二に、順位は階段状に動くこと。7月の「73位プラトー」は施策を続けていても1か月続き、8月に入ってから一段下がりました。施策と順位反映の間には数週間のラグがあります。
効いた施策4つ(実測値つき)
① カニバリゼーション(共食い)の解消
同じ検索意図を複数ページで奪い合っていた箇所を、canonical・noindex・役割分離で1本化しました。代表例はツール比較ページ(ルートの比較ページとコラム版が二重表示→コラム版をnoindex+canonicalで統合)と、「SEOとは」記事と用語集の共食い(タイトルとFAQの重複を解消し役割分離)です。順位を直接上げる施策ではなく「評価の分散を止める」施策ですが、これをやらないと後続の内部リンクも被リンクも割れたページに分散します。最初の2週間でやるべき整流でした。
② 柱記事への内部リンク集中
被リンク解説の柱記事に対し、関連コラム6本からページ別のキーワードアンカーで集中リンクしました。対象記事は7月時点の50〜60位台から直近61日窓で40.7位まで改善し、個別クエリでは「被リンク 対策」32.7位・「seo対策 リンク」33.2位(GSC平均)まで来ています。ただし後述のとおり、1記事あたり10本程度で効果は飽和しました。
③ 検索意図を正面回収するFAQ・小節の追加(外科手術)
Search Consoleで「表示はあるのに順位が浅い(8〜30位)」クエリを特定し、そのクエリに正面から答えるFAQや小節をピンポイント追加する——当サイトで「外科手術」と呼んでいる施策です。3回に分けて実施した結果の実測値(2026-08-20のSERP実測):
| ターゲットクエリ | 施策前(GSC) | 実測順位(8/20) |
|---|---|---|
| ユニバーサル検索とは | 23.5位 | 19位 |
| seo テキスト分析ツール | 20.9位 | 20位(施策当日) |
| seo対策 外注 ツール どっち | 27.9位 | 13位 |
| mfi 対策 | 39位→ | 31位 |
新規記事を書くより、既に評価され始めたページの意図回収のほうが圧倒的に費用対効果が高い、というのが3か月の一番の実務的発見です。やり方の詳細は「SEOリライトのやり方」も参照してください。
④ dofollow被リンク(1本で動いた実例)
7月末、SEOライティング専門メディア「SEOライター360」(株式会社おまけ運営)が当サイトのモバイルSEO記事を参考文献として自然引用してくださいました(当サイト初の第三者dofollowリンク)。その後の実測:
- 対象記事の平均順位: 90位台(6月)→47.3位(直近61日窓)
- 関連クエリ「mfi seo」が実測31位・「モバイルseo」37位まで上昇
- 当サイト初の非ブランド検索からのクリックが同記事で発生
もちろん同時期の内部施策との複合効果ですが、被リンクゼロの新規ドメインにとってdofollow1本の重みは想像以上でした。なお、被リンクの良し悪しは「外部対策(被リンク)とは?」に詳しくまとめています。
効かなかった施策4つ(正直に)
① 記事の量産
7月に新規コラム10本を追加しましたが、公開直後にほぼ全てが80〜90位に着地しました(例外は競合の弱い1本のみ39位)。ドメインの権威が足りない時期は、記事を増やしても「深い順位の在庫」が増えるだけでした。詳しくは「記事数は多ければいいのか」で書いたとおりです。
② nofollowリンク(プレスリリース配信)
独自調査記事をプレスリリースで配信し、大手ニュースサイトを含む約15媒体に転載されました。ただしこれらのリンクはほぼnofollowで、対象ページの順位は動きませんでした。認知・指名検索・二次引用のきっかけとしては価値がありますが、「順位を上げる被リンク」としてはカウントできません。
③ リッチリザルト狙いのFAQ構造化データ
全記事にFAQPage構造化データを実装していますが、Search Consoleの「検索での見え方」でのリッチリザルト表示は3か月間ゼロでした。GoogleはFAQリッチリザルトを著名サイトに限定しており、一般サイトが見た目の装飾を期待して実装しても表示されません。ただしFAQ自体は③の外科手術として順位に効いているため、「目的をクエリ回収に置く」のが正解でした。
④ 順位が深い段階でのタイトル・CTR改善
順位帯別に集計すると、41〜100位のクエリは表示の85%以上を占めるのにクリックはほぼ構造的にゼロでした。6〜10ページ目ではどんなに魅力的なタイトルでもクリックされません。CTR改善が意味を持つのは1〜2ページ目に到達してからで、それまでの主戦場は順位そのものです。
現在地:28クエリの実SERP測定と「GSC平均順位の罠」
本記事の公開にあわせ、主要28クエリの実際の検索結果を測定しました(2026-08-20・SERP API・上位100位)。抜粋:
| クエリ | 実測順位 | AI Overviews |
|---|---|---|
| seo対策 外注 ツール どっち | 13位 | 表示あり |
| aio対策 キーワード選定 | 17位 | 表示あり |
| ユニバーサル検索とは | 19位 | 表示あり |
| seo テキスト分析ツール | 20位 | 表示あり |
| mfi seo / mfi 対策 | 31位 | 表示あり |
| コンテンツ リライト | 36位 | 表示あり |
| seoツール 比較 | 60位 | 表示あり |
| seoとは | 86位 | 表示あり |
この実測で2つの重要な事実が確認できました。
- 28クエリ中26クエリ(93%)でAI Overviewsが表示。SEO関連クエリはAIの回答が最初に目に入る前提で戦う時代です(当サイトの389語調査とも整合)。なお現時点でAIOに当サイトが引用された例は0件——これが次の挑戦です。
- GSCの平均掲載順位と実SERPは乖離する。例えばGSC平均で32位のクエリが、実測スナップショットでは100位圏外というケースがありました。GSCの値は地域・パーソナライズ・期間を均した平均であり、「実際にその順位で見えている」とは限りません。順位を追うなら同一条件の定点実測が必要です。
3か月の学び:新規ドメインがやるべき順番
- 最初の2週間=整流:カニバリ解消・canonical・内部リンク設計。順位は上がらないが、後の全施策の効率を決める。
- 1〜2か月目=仕込みと観測:柱記事を決めて内部リンクを集中。Search Consoleで「表示され始めたクエリ」を毎週観測する。
- 2〜3か月目=刈り取り:8〜30位に浮いてきたクエリへFAQ・小節をピンポイント追加(外科手術)。新規記事よりこちらが先。
- 全期間=引用される資産づくり:順位の天井を決めるのはdofollow被リンク。買えない以上、引用したくなる一次データ・調査を出し続けるのが唯一の再現可能な獲得法でした(本記事もその一つです)。
- 測定を自動化する:GSCの平均値だけでなく、主要クエリの定点SERP実測を持つと施策の当たり外れが週単位で判定できる。
なお、同じように実測値ごと公開している実践記録として、個人開発者teppei氏の「個人ブログのSEO対策9つで平均掲載順位38→18まで上げた具体的手順」(Qiita)があります。静的サイト(GitHub Pages)・月額0円という当サイトとは異なる条件ですが、「観測→施策→実測」のループを回す進め方は共通で、規模の小さいサイトの再現例として参考になります。
手法と限界(正直に)
- 本記事は単一サイト(n=1)の実録です。ジャンル・競合・体制が違えば再現性は保証できません。
- GSCの月次値は取得時期により数%前後の揺れがあります。8月は18日までの集計です。
- 施策は並行して走っており、個別施策の効果を厳密に分離することはできません。本文の「効いた/効かなかった」は、対象ページ・対象クエリの時系列変化に基づく実務判断です。
- SERP実測は2026-08-20の単一スナップショット(日本・デスクトップ相当)です。検索結果は地域・時間で変動します。
今後も同じ条件で計測を続け、6か月時点の続報を公開する予定です。
引用・転載について
本レポートの数値・グラフは、出典として本ページへのリンク明記を条件に、記事・スライド・社内資料などへ自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。
引用例:出典:Saguru(株式会社D-SYSTEMS-EN)「新規ドメイン3か月の実録SEOレポート(2026)」 https://saguru.dsystemsen.com/column/76-seo-3month-case-study.html
順位観測から始めるのが、遠回りに見えて最短
3か月やって明確なのは、施策の当たり外れは「観測」で決まるということです。表示され始めたクエリを見つけて正面回収する——このループを回すには、キーワードの需要と難易度を素早く調べられる環境が要ります。Saguruなら、サジェスト・SEO難易度👑・共起語を登録不要・1日5回まで無料で確認できます。
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